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2011年2月21日 (月)

こんな戦争があった~『望郷/ボートピープル』

望郷/ボートピープル(原題:投奔怒海)1982年・香港
 監督:許鞍華(アン・ホイ)
 出演:林子祥(ジョージ・ラム)、繆騫人(コラ・ミャオ)、劉徳華(アンディ・ラウ)、馬斯晨(マー・スーチェン)

 ボートピープルという言葉を聞かなくなったのは、いつごろからだろう?ベトナム辺りから、すし詰め状態に人が乗った船が日本に漂着したというニュースがかつてはよく流れていたことを、ふっと思い出した。よくも、あんな心許ない船に命を預けるものだと、そして自分の知らない国でそうやって故国を捨てたくなるような社会があることを、おぼろげながらでも現実として感じていたことは、この作品を見るまですっかり忘れていた。

 ベトナム戦争の戦勝パレードで、歓喜に湧く市民の姿を取材した日本人カメラマン芥川は、3年後再び取材のためベトナムを訪れる。しかし、そこで見た新しいベトナムには、政府の圧政にあえぐ市民の姿があった。

 戦場でベトナムを伝えてきたカメラマンが見た現実に、まず愕然とする。外国との戦争が終わると、次は国内の各勢力によるせめぎ合いがあり、本当の平和が訪れるまでにもう一つの試練があることが、芥川の見る社会に歴然と存在する。

 戦後、夫が逮捕され残された妻は、病身ながら幼い子どもたちを育てなくてはならない。その少女は、ひょんなことから芥川と出会い、芥川が政府が外国に見せる平和なベトナムではなく、その底にあるどろりとしたもの。それを体現するように、少女はたくましく生きている。
 デビュー間もない劉徳華(アンディ・ラウ)演じる青年がが行う地雷除去作業。普段着のまま、なんの装備もなしに、手作業で地雷を見つけてゆく青年たち。炎天下、太陽に照らされて流れる汗と、作業の緊張感から流れる汗とが混じり合う中での、過酷な作業。
 戦場をめぐるカメラマンとして追い続け、その勝利の高揚感をともに味わったはずの芥川は、自分が見てきた戦争がもたらしたものが、こうした想像を越える貧しさや、すさんだ生活だったことを知る。彼が受ける衝撃は、見る側にも同じように強く衝撃を与える。それがボートピープルも、ベトナム戦争も遠い過去になりつつある今であるからこそ、逆にストレートに切り込んでくるような気がした。

 たとえ危険を冒しても、彼らが故国を捨てることがいたしかたのないものだと思わざるをえない現実の数々は、これが作り物の映画であったとしても、気持ちを強く揺さぶるのに十分の迫力だった。戦争そのものの描写はないけれど、それが社会に取り返しのつかないほど大きな傷を残すことが、ずしりとした重みを残す作品だった。

 この作品が作られたのが1982年。当時、雑誌かなにかでこの作品を紹介した記事を見て、なぜだかとても気になりながら、今まで見る機会がないままきてしまっていたけれど、やっと見ることができた。

極道追踪 [DVD]

 香港版DVDで見ましたが、日本語版の『望郷/ボートピープル』は残念ながら発売されていないようです。劇中、その濃い風貌がベトナムの青年にぴったりだった劉徳華(アンディ・ラウ)が、のちに主演した許鞍華(アン・ホイ)監督作品。これも、日本にやってきた中国人留学生たちの主人公にした社会派作品でした。

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