すごいドラマを見てしまった~『砂時計』
砂時計 1995年
出演:チェ・ミンス、パク・サンウォン
コ・ヒョンジョン、イ・ジョンジェ
たいへんなものを見てしまった!重苦しくて、濃厚で、荒々しくて、それでもやめられない圧倒的な力強さ。
軽快な気分で見られるラブコメディやラブロマンス物とはまったく違う色あいですが、見て損はない!韓国ドラマをちょっとなめてたのかもしれません。
とにかく圧巻。迫ってくるものに押しつぶされそうになりながらも、続きが気になって目が離せなくなります。
1970年代半ば、朴正熙政権下、民主化を求める学生運動が盛んな時代。民主化運動に身を投じるヘリンと、彼女と同じ下宿に住み司法試験を目指すウソク。彼の高校時代の友人のテス。彼らが、時代のうねりに翻弄されながら、それぞれ違う道を進んでゆくさまが10年以上の長きにわたって描かれてゆきます。
韓国ドラマ=浪漫なメロドラマのイメージが見事にくつがえされます。
とにかく、男くさいドラマ。
まずその筆頭はもちろん、喧嘩も強く高校時代は番長としてならしたテス。後に、ヤクザとなり頭角を現していきます。人のいいあんちゃん然とした前半から、がらりと変わって凄味のあるボスとなる後半。まるで別人になったかのような変貌ぶり。そして、この男がなんせ熱い!!好きな女性に対する思いも、仲間にかける思いも、友情も。ギラギラした目つき(←しかも、ほとんど瞬きなし!)に射すくめられそうになります。
そして、テスの親友でありながら、彼とは真反対の検事という仕事に就くウソク。一見、ぼんやりとした穏やかな風貌ですが、芯はなかなか頑固で、決めたら最後まで突き進む。自分の仕事や行動が親友=テスの利益に反するとみるや、自分の不利益をかえりみずに行動してしまうところが、なんとも熱い。女性に対する思いが静かで控えめなのに比べると、友に対する行動はなかなか大胆です。
男くささという点では、ヘリン(←女性)も負けてません。その生まれと育ちを背にした余裕のようなものを身にまとって、婉然と微笑む姿がなんとも強く、そしてかえって内面の不安を押し隠そうとして痛々しくすらあります。でも、決して最後まであとにひかない強さは、男性陣にもひけをとらない存在感を見せてくれます。
最後にもう一人。ヘリンを終始見守るボディガードのような立場のジェヒという男性。上の3人に比べると、その出自や過去もまったく描かれないし、一歩ひいた存在ですが、いつ何時であってもヘリンを守ることに専心する姿は感動的ですらあります。
この4人に加え、周囲の面々もなかなかの強者ぞろい。一癖もふた癖もある輩が、独裁政権下の汚職や、不正が横行する政界と経済界で暗躍。近くて遠いお隣の国のことを、少しは分かってきたような気分になってましたが、これを見るとまだまだ知らないでいる部分がたくさんあることを思い知らされます。
薄暮の中にかすむ美しい山並みの場面で、ドラマは終わります。
そこで交わされる会話は、切なくもあり、明日への兆しが見えているようでもあり。
とにもかくにも、すごいドラマを見てしまった。そんな気分です。
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コメント
突然、初めまして。づっかと申します。
「砂時計」を先日見終え。
いたく感動し、webで情報を見ていたところ、こちらのBlogに出会えました。
男の友情が素晴らしかったです。
最終回を見終えて、何日か経過しましたが、
未だに重く心に残り、胸が締め付けられるようです。
「本当にすごいドラマに出会ってしまった。」
まさしくです。
初めてみた「私の名前はキム・サムスン」
も同じく好きなドラマです。
よかったら、私のBlogものぞいていただけるとうれしいです。
失礼いたしました。
投稿: づっか・まむ | 2008年3月 4日 (火) 19:18
づっかさん、コメントありがとうございます!
「砂時計」、同じように思ってらっしゃる方があって嬉しいです。恋愛物韓国ドラマもいいのですが、こういう胸に迫ってくるようなものもいいですよね。
づっかさんのブログにもおじゃまさせていただきますね~。
投稿: あんく | 2008年3月 4日 (火) 23:40
はじめまして。
偶然お邪魔しました。
私はこのドラマが放映された当時、韓国で生活していたのですが、
サラリーマンたちにも絶大な人気がありましたね。
「『砂時計』は『帰宅時計』」とまで言われていました。
1980年の「光州事件」を正面から描いた初のテレビドラマ
であったことも、このドラマのポイントでした。
「女性に対する思いが静かで控えめなのに比べると、友に対する行動は なかなか大胆です」というウソクへのコメント、鋭いですねぇ・・・^^
投稿: かせたに | 2008年9月20日 (土) 01:54
かせたにさん、いらっしゃいませ&コメント、ありがとうございます!
韓国でも絶大な人気があったんですね。分かるような気がします。光州事件についてほとんど知らなかくても引き込まれていきましたから、背景が分かる方がご覧になったらまた違う迫力があるんでしょうね。
「韓流=女性のもの」という思いこみを払拭してくれた一本です。
NHKあたりでじっくり放送してくれると、もっともっとたくさんの人に見てもらえるような気もすんですが。
こうして書いていると、またゆっくり見直してみたくなりました。
投稿: あんく | 2008年9月20日 (土) 14:46